プロフィール

ミスターW

Author:ミスターW
Address;新潟県
映画と小説と妻と子供を
こよなく愛するオヤジ


最新記事


最新コメント


最新トラックバック


月別アーカイブ


カテゴリ


FC2カウンター


アクセスランキング

[ジャンルランキング]
映画
5687位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
レビュー
2086位
アクセスランキングを見る>>

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

犬神家の一族 ~小説ではスケキヨよりタマヨの勝ち~

「犬神家の一族」は、映画と同様に、横溝正史の原作も素晴らしい小説です。


ミステリー小説では、犯人でない怪しい人物の登場が定石であり、逆に「事件直後に浮かび上がる怪しい人物は、決して犯人ではない!」と断言できます。
悲劇のヒロイン珠世(たまよ)の存在は、そんなアンフェアなものでなく、あくまで愛する人に向ける眼差しが際立ち、それが金田一の注意を引くことになります。

映画に存在しないいくつか場面の中でも、特に美しいのは、ラストに珠世が犬神家三種の家宝を、生涯の伴侶と決めた相手に「佐清(すけきよ)様、これをお受け取りくださいまし」と手渡しする場面です。

凄惨な事件の中での力強く凛とした珠世の姿、それを見つめる金田一耕助の視線と心の葛藤、この2つが、映画には無い小説としての最大の魅力でしょう。

なお2008年に、この小説が韓国でベストセラーになるという現象が起きました。
詳細は、以下の記事を参照ねがいます。↓
 exciteニュース『韓国で今、横溝正史がヒットするワケ』






スポンサーサイト

日本ミステリーの三大奇書(その3) 「虚無への供物」

三大奇書として、以前に「黒死館殺人事件」「ドグラ・マグラ」について書きましたが、最後に中井英夫の推理小説「虚無への供物」。


上下巻を揃えると薔薇が構成され、小説同様怪しげな雰囲気が漂います。



数々の過去の不吉な死だけでなく、洞爺丸転覆事故に遭遇し、いまだ北海道アイヌの不吉な伝説に怯える氷沼(ひぬま)家に起こる殺人事件を描いています。
シャーロック・ホームズを自称するシャンソン歌手の女性と、ワトスン役となる男友達(商社マン)を中心に、ユーモアあふれる推理合戦を繰り広げるストーリーです。

文章自体も読みやすく、どちらかと言えば、陰湿にならずサッパリとした雰囲気の作品です。

興味深いのは、この小説の中で「黒死館殺人事件」や「ドグラ・マグラ」にさり気なく賛辞を贈っていることです。
シャンソン女性歌手が、トンチンカンな推理を展開するワトスン役男友達に「黒死館殺人事件くらい読んでからおっしゃい。メイド・イン・ジャパンも安物ばかりじゃなくってよ」と忠告を与える場面があります。
また精神病院を訪れた際に「ドグラ・マグラ」の主人公の心境を思い出し恐怖する場面もあります。

このほかにも、具体的な作品名は登場しませんが、G・K・チェスタトンの短編集「ブラウン神父の童心」の中にある作品「折れた剣」についても言及している場面もあり、ミステリーファンをニヤリとさせます。

この作品は、よく"アンチミステリー(反推理)"という表現で紹介されています。
確かに、殺人事件としての動機付けが弱く、読み終わったものの果たして話が完結しているのかどうかモヤモヤした感想を持ってしまいます。
それでもなお、もう一回読んでみようかという気持ちにさせるのですから、それなりの求心力と個性を持ち、なにより登場人物の魅力が際立っているのでしょう。


単行本と文庫本は、双生児のごとく

「レディ・ジョーカー」等のベストセラー作家 村薫の社会派ミステリー小説「マークスの山」。


幼少期に両親を亡くした青年<マークス>が、恐喝と連続殺人事件を引き起こすストーリーです。
同著者の「レディ・ジョーカー」でもお馴染みの合田雄一郎刑事が活躍します。

警察組織と、それを翻弄するかのような殺人者マークスの行動が平行して描かれており、圧倒的な密度と高揚感で、ぐいぐい引き付けられます。
推理小説のようなトリックや名探偵は登場しませんが、物語(事件)自体が大きな謎を投げかけており、マークスの存在感を背景に、大きなうねりを感じます。


上下巻を並べると、こんなふうにひとつの絵になります。
そのうえ赤い文字で「マークス」と「の山」が見事につながります。


よく見ると、右手で凶器を握っている構図も確認できます。
これらの点は、今回写真に撮るときに、私自身初めて気がつきました。


またキャッチコピーも、上下巻の左右で繋がっています。
「直木賞受賞作 全面改稿!!」
「『照柿』へ続く 合田刑事第一幕」


よく見ると下巻の帯に「ここにいる奴が、脳味噌を食ってるんだ」という、かなり刺激的な言葉があります。
当時このセリフに惹きつけられて、この本を選んだ記憶が蘇ってきました。



それにしても「全面改稿」って気になりますよね。


そこで単行本を古本屋で入手しました。


このころは、まだ""でなく"高"だったんですね。



全6章からなる長編小説ですが、読んでみると後半4~6章はかなりストーリーが変わっています。
殺人者マークスの殺した人数から、事件解決のきっかけが露見する過程まで、大胆かつ綿密な改稿がいくつも発見できました。
本文以外にも、第3章のタイトルが、単行本では「成長」、文庫本では「生長」に変化しています。

また、文庫の帯にあった「ここにいる奴が、脳味噌を食ってるんだ」というセリフは、単行本には存在しないものであることも判明しました。


映画もレンタルで観ました→70点


【追記 2011.03.17】
「マークスの山」については、図書館さんのブログ『自分では買わず、図書館で本借りて読んでいる、読書嫌いの感想になっていない読書感想??』も参考になります。
図書館さんの記事(マークスの山)

【追記 2011.05.09】
文庫版「マークスの山」下巻の第四章において、殺人者マークスが、かつて好んで読んだ小説として「八月の光」が登場します。



日本ミステリーの三大奇書(その2) 「ドグラ・マグラ」

三大奇書の一つとして、以前「黒死館殺人事件」について書きましたが、今回は、夢野久作の幻影小説「ドグラ・マグラ」。
(三大奇書のこり1作「虚無への供物」は、4月中旬に書く予定です)


九州大学病院に在籍する若林博士と正木教授のある共同実験により、ある男が挙式前日に花嫁を絞殺したという事件が発生します。

精神病科に幽閉されている男性が、若林博士から、「その半年前の花嫁殺害事件の中心人物があなた自身であり、あなたの記憶回復が事件解決につながる」との指摘を受けるところから、物語が始まります。
さらに当の正木教授は一ヶ月前に自殺したことや、この共同実験のためこの男性を研究材料としていたこと、また二十年前にその準備に着手していたことを告げられます。

男性は、花嫁殺しの犯人が自分であるか否か?、その実験とはいかなる内容のものであるか?

このように、物語の導入部から、舞台スケールと謎が大きく、「精神科学応用の犯罪」「狂人の開放治療」「胎児の夢」「夢中遊行症」といったキーワードも蜘蛛の巣のごとくちりばめられており、読者をヘビィで摩訶不思議な世界に引きずり込まれます。

予想していた以上に、話はしっかりまとまっており、最終惨劇を予感させ、時限爆弾を仕込ませたような段落構成も、素晴らしいです。

私は、小っちゃく個性のない小説よりも、「ドグラ・マグラ」のようにマグマが噴出するくらいのパワーと、毒気を充満させた小説が大好きです。

あらゆる賛辞を受け入れ、そのすべてを容易に凌駕している、国産ミステリーの最高級品です。




いい歳こいてセリフに震えた、やはり歳のせいか?

劇場型犯罪を描いた雫井脩介のミステリー小説「犯人に告ぐ」。


連続殺人事件を背景に、マスコミに挑戦状を送る犯人と、テレビ番組を通じて犯人に呼びかける刑事の対決を描いた小説です。

テレビ番組内で、警察の仕掛ける大規模ローラー作戦を披露し、テレビを見ているであろう犯人に向かい「正義は必ずお前をねじ伏せる。(中略)おそらく正義は突然、お前の目の前に現れるだろう」と宣言する場面は、この小説一番のドラマチックなものです。

「めんどくさい小説はダメ、でも面白い本ないかな~」っていう人に最適な一冊です。
文庫上下巻の長編ですが、非常に読みやすい文章で、お父さんの出張に丁度良いといった感じです。

小説を読んで面白かったので、映画も公開時に観にいきました。→60点
 劇場用プログラム





 | ホーム |  次のページ»»


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。